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「いらっしゃいませぇ!!」
OPENして間もないのに、店内はわいわいと賑わっていた。
ガラス棚にお酒のボトルが綺麗に並べられていて。
割と薄暗い店内で、照明に映えてキラキラ輝いていた。
「.....................」
ボーゼンと立ち尽くしていると。
バシッ!!
「!?」
いきなり結衣に肩を叩かれた。
「何ぼーっとしてんの?行くよ!!」
「う、うん」
慌てて結衣の後を追い掛けて、案内された席に座った。
髪の毛をやたら盛ったスーツ姿の男のコ達が、私と結衣の周りを囲んで、お酒を片手に談笑。
いつの間にかその雰囲気に溶け込んでいた。
気が付けば、最初はピッタリと結衣にくっついていた私も、すっかりソファーに体を預けて目の前にいる男のコとの話に夢中になっていた。
人見知りする私だけど、余程のコトがない限り「来る者拒まず」って感じだから。
相手は楽しませてくれるのが仕事だけど、それが逆に割り切れて楽しかった。
その頃の私は「男のコ」とか「恋愛」に疲れていたから。
「恋愛感情」を忘れて、もう2年が経とうとしていた。
話も最高潮な盛り上がりを見せてきた頃。
男のコが入れ替わった。
こっちに向かって歩いてくる1人の男のコの姿。
今度はこの人かぁ...。
やっぱり明るめの茶色の髪の毛をやたら盛って。前髪を斜めにセットして。
ダイヤ柄の模様の入ったスーツを着てて。
「ここ、着かせてもらってもいいですか?」
ニコッと笑いかけてきた、笑顔が可愛い男のコ。
それが、叶多だった。
今まではただ男のコ達の話を聞いて笑っていただけの私だったけど。
叶多には驚く程自分から話し掛けたりしていた。
何か...話しやすかった。
ずっと笑顔で。
心がほわんって。
暖かくなった。
叶多につられて、自然に笑顔になってる自分に気付いた。
叶多とは結構似てる部分があったから話も余計に盛り上がって。
同い年だったし、好きなゲームの内容とか、苦い経験、恋愛話まで...。
声が枯れる位話した気がする。
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