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店内は相変わらずの活気。
景が結衣(と私)を入り口で出迎えてくれた。
普通はそれぞれの担当が出迎えに来てくれるんだけど。
私の担当の稜は忙しい人で出勤時間が遅いから。
私と結衣が「Pluie」に着いた時にはまだ出勤していなかった。
「結衣の傘やたらデカくない?(笑)」
席に着くなり景の一言。
「そう!!コイツ雨の日傘持ち歩かないから入れてやんないと、ひたすらびしょ濡れのまま行動するから見てらんないんだよね」
結衣が私の頭をぽんぽんと叩きながら景に説明していた。
「だって雨好きだもん」
『えぇ!?雨好きなの!?』
周りにいた男のコ達が声を揃えて言った。
「うん、好き。何か落ち着く。静かだしねー」
『へぇ~』
「てか結衣チャンの表現なんかエロい!!」
「は、何で!?」
「びしょ濡れとか...(笑)」
「普通それだけで連想しないからッ!!(笑)じゃあ何て表現すればいいんだよ」
「...どの言葉でもやらしく聞こえそう...(笑)」
「確かに...(笑)」
雨の話で盛り上がるコト数時間。
私はふとあるコトに気付いた。
...いない...。
さっきからずっと、通路を行き交う男のコ達の中。
探してる影。
叶多クンがいない...。
心がざわつく。
話したかった。
どうしても...会いたかった。
何でこんなキモチになるのかわからなかった。
─会いたい...。─
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