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鬼は、今日もジローを待っていました。
この間見つけた、新しい木から採ってきた木の実も、たくさん用意してあります。
ジローは、鬼の所によく来てくれます。
しかし、毎日ではないので、鬼はまちぼうけを食らうこともよくありました。
しかし、鬼はそれを気にしていません。
自分と会ってないときに、ジローが見たこと、感じたこと。
その楽しいことを、ジローが楽しそうに話すのを見るのも、鬼は好きだったからです。
鬼が見たことも聞いたこともない話も、たくさん知ることができました。
海という、大きな大きな水溜まりの話。
人が大勢いる町、えらい人が住んでる大きなお城の話。
村の子供たちとの川遊びや、かくれんぼ。
その全てが、鬼にとっては驚きでした。
鬼も、ジローにいろんなことを教えてあげました。
おいしい木の実のなる木や、魚のたくさんいる小川。
山の中で一番高い木と、その登り方。
ジローがうっかり怪我をしたときは、よく効く薬草を教えてあげました。
すると、ジローも鬼と同じく驚いたり、喜んだり。
鬼にとっても、ジローが自分と同じような心でいてくれることが、驚きであり、喜びでもありました。
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