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お日様が元気よく顔を出し、とうとうやってきた村の夏祭り。
朝もまだ早いというのに、もう鳴きだしている、気の早いセミの声も聞こえてきます。
村の大人達は、神社で振る舞われるという、御神酒目当てに、皆集まってきました。
そんな中、ジローは人の波に逆らい、山の中へと向かいます。
いつも通る道を抜け、鬼が待っている場所を目指し、走りました。
少し、早く来すぎたかなと思いましたが、鬼はすでに待っていてくれました。
「おはよう、鬼のオジサン!」
「おぉ、おはようジロー!」
「よし、早速行こうよ!早く早く!」
鬼の手を引っ張るジロー。
その力は予想していたものよりずっと強く、鬼は驚いてしまいました。
「待て待て、ジロー。急いで来たんだろ?もうちょっと、ゆっくり行こう。な?」
言われてみると、かなり汗をかいていることに、ジローは気付きました。
今日は、朝から結構暑い。
これから、どんどん熱気は上がっていくでしょう。
確かに、ゆっくり歩いて体の熱を冷ますのもいいかもしれない、と思いました。
「そういえば、オジサンは村は初めてだしな。それじゃあ、歩いていこうか!」
「うん、そうしよう。」
鬼は言いました。
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