村の夏祭り

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この村とは比べものにならないという、大きな町からやってきてくれた飴屋さん。 その店の前には、色とりどりの飴が並んでいます。 中には、鳥や動物など、凝った細工がしてある飴もありました。 「すっげぇな!」 ジローは、父親からもらった小遣いの小銭を取出し、二人分の飴を買いました。 「まいど!おまけしといたよ!」 飴屋さんが、威勢よく言います。 確かに、包紙がはじけるほどたくさんの飴が入っているよう。 「ありがと!」 飴屋さんにお礼を言うと、二つに分けてもらった包みの片方を鬼に渡します。 鬼は、飴はもちろん紙を見るのも初めてだったようで、不思議そうな顔をしていました。 ジローが紙を破り、中の飴をほおばり始めると、鬼も真似をして、袋を無造作に破ります。 「うめぇ!」 口の中で飴をころがしながら、ジローは言いました。 「甘いのぉ。どんな木の実も、こんなに甘くないわ!」 鬼も飴に夢中なようです。 山になる木の実のような、控えめであっさりとした甘味ではない。 純粋な砂糖の、とても強烈なその甘味は、鬼が想像していたものより、ずっと上でした。 「こんなうまいものがあるのか!人間はええのぉ。」
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