13人が本棚に入れています
本棚に追加
この村とは比べものにならないという、大きな町からやってきてくれた飴屋さん。
その店の前には、色とりどりの飴が並んでいます。
中には、鳥や動物など、凝った細工がしてある飴もありました。
「すっげぇな!」
ジローは、父親からもらった小遣いの小銭を取出し、二人分の飴を買いました。
「まいど!おまけしといたよ!」
飴屋さんが、威勢よく言います。
確かに、包紙がはじけるほどたくさんの飴が入っているよう。
「ありがと!」
飴屋さんにお礼を言うと、二つに分けてもらった包みの片方を鬼に渡します。
鬼は、飴はもちろん紙を見るのも初めてだったようで、不思議そうな顔をしていました。
ジローが紙を破り、中の飴をほおばり始めると、鬼も真似をして、袋を無造作に破ります。
「うめぇ!」
口の中で飴をころがしながら、ジローは言いました。
「甘いのぉ。どんな木の実も、こんなに甘くないわ!」
鬼も飴に夢中なようです。
山になる木の実のような、控えめであっさりとした甘味ではない。
純粋な砂糖の、とても強烈なその甘味は、鬼が想像していたものより、ずっと上でした。
「こんなうまいものがあるのか!人間はええのぉ。」
最初のコメントを投稿しよう!