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二人は、飴を片手に神社の境内を見て回ります。
大道芸人さんのハシゴを使った芸。
小柄なオジサンが、するするとハシゴを上り下り、頂上では逆立ちなどを見せてくれました。
子供たちが、サルみたいだとはやしたてると、オジサンはハシゴの上から「コラ!」と、笑顔で怒ります。
その様子を見て、ジローも鬼も、一緒になって大笑いしました。
オモチャの行商さんからは、きれいな風車を買いました。
風が吹くと、キラキラ光りながら気持ち良く回ります。
鬼にとって、初めての宝物です。
宝物だけではありません。
ここにあるもの全てが、鬼を心から驚かし、感動させてくれました。
ジローが、笑ってくれています。
だから鬼も、たくさんたくさん笑いました。
やがて、二人は遊び疲れて、近くの岩に腰を下ろします。
気が付くと、時間はもうお昼過ぎ。
真夏のお日様は、力一杯に照りつけています。
「おーい!ジロー!」
聞き慣れた声にジローが振り向くと、そこにはジローのお父さんがいました。
どうやら、お昼ご飯をもらってきてくれたようで、手にはおにぎりと、竹筒の水筒を持っています。
「お父!オジサン、あれがオレのお父だ!」
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