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鬼は、これまでにないくらい驚きました。
こっちに気付いた人間は、一瞬戸惑ったような表情を見せたものの、すぐにこちらに向かってきたのですから。
「お、おぅおぅ、お前人間か?」
素っ頓狂な声でした。
鬼はますますあせり、ジローはますます目を輝かせます。
「オジサンは鬼か?」
ジローは質問を質問で返しました。
「そ、そうだ!オラは鬼だ!おめぇはなんなんだ?」
「オレはジローだ!オジサンが鬼なのか!?すげぇなあ!鬼なのかぁ!」
鬼は不思議に思いました。自分は確かに鬼です。
だけど、そんなことに疑問を持つことなんてなかったから。
だから、なぜこいつはこんなことを言ってくるのかわかりませんでした。
「なぁなぁ、オジサン!名前なんていうんだ!それとな、それとオレの友達になってよ!鬼の友達なんて初めてだよ!」
トモダチ。
ナマエ。
鬼は初めて聞く響きに、疑問を持ちました。
「トモダチ?ナマエ?そりゃあなんじゃ?」
すると、人間はきょとんとしながら答えてくれました。
「名前は名前だよ。オレはジロー。オジサンには名前ないのか?友達も知らねぇのか?オジサン変なこと言うなぁ。」
人間、いやジローは言いました。
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