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「そんなに変かのう?ナマエも、トモダチもないというのは?」
鬼は、当然のようそう思い、それをそのまま問い掛けました。
「う~ん…」
今までずっと笑っていたジローが、少しだけ悲しそうな顔をします。
「変じゃねぇよ。
でもさ、なんか、面白くねぇよ。だれも名前で読んでくれなかったり、友達一人もいないのはさ。
うん…すげぇつまんねぇ!」
そう言ったジローに、ついさっきまでの元気がないことを、鬼は気付きました。
なんでだろう。
きっと、悲しいことがあったんだ。
でも、悲しいことってなんだろう。
そうだ、ジローは自分で言ってた。
友達が、名前がないからじゃないか。
鬼はそう思いました。
「なぁ、ジローは名前と友達、欲しいのか?」
ジローは、鬼の言葉の訳が分からず、一瞬言葉に詰まってしまいます。
鬼は構わず続けました。
「よしよし、それじゃあなあ、オラが友達になってやる。
そんでなぁ、ジローの名前、ジローの名前は…」
「鬼のオジサン、オレの名前はジローだよ!」
あまりに、訳の分からない会話にジローは吹き出してしまいました。
「ありゃ?ジローの名前はジローで?ジローってのは名前?ん?ん?」
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