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ジローは我慢できずに大笑い。すると鬼も、つられて一緒に大笑い。
それから、ジローと鬼はたくさんたくさん話をしました。
気が付くと、お日様はすっかり朱く大きくなり、山の向こうに沈みかけています。
二人とも、もうそんな時間になったことに驚きました。
「もう、帰らなきゃ。」
ジローは鬼に言いました。
「そうか。おもしろかったのにのぉ。」
「また、明日も来るよ。はやく帰らないと、お父が心配しちまう。」
「うんうん。またきてくれの。まってるからの。」
鬼がニッコリ笑って言うと、ジローもニッコリ返します。
鬼に向かって大きく、力いっぱい手を振ると、ジローは一目散に走っていきました。
そして、ジローは思いました。
今日はすごい日だった。
鬼の友達ができた。
今日のことは誰にも言わず、秘密にしておこう。
こんなすごいことを、誰にも教えるもんか。
そんなことを考えながらの帰り道は、いつもより短く感じます。
あっという間に着いた、自分の家。
戸を開けると、お父さんはもう帰ってきていました。
「どうした、ジロー?いいことでもあったのか?」
「なんでもないよ!」
ジローは、笑いながら答えました。
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