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「起きろ」
真っ暗な廊下の先の鉄格子の扉に手をかけながら背の高い男が声を出した。
ガチャリと大きな音がして、扉が開く。
異臭が鼻につく。
約15年溜まった負の匂いだ。
「……あぁ」
中に居た男が、声を絞って呟く。
男が立ち上がると埃が舞った。
「“学級崩壊”だよ。お前はそのために解放された」
「…ない」
背の高い男は一枚の紙切れを渡す。
「1ヶ月」
「…?」
「MAISON本部で色々聞いてこい。預けてる生前の“エモノ”も返しに貰ってこい」
男は無言で紙切れを手に取り、格子から外に出る。
出る際に一言。
「……俺はそこで死んでいた…?」
背の高い男は再度牢の扉を閉め、英語で答える。
「I think maybe.」
廊下に足音だけが響く。
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