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「まったく、気持ち悪い娘だこと…」
母君が髪を梳きながらもらす。小さな頃は、乳母が美しいと言ってくれた金の髪。母君や父君にとっては、私が二人の子ではないことの証しである。
ごめんなさい、と言おうと口を開こうとすると、母君の人差し指が冷たく当てられる。
「そんな声で啼かないでちょうだい。呪われてしまうじゃないか」
冷たく言い放つ。こう言われては、何も言えない。もう何年喋ってないだろう。いつも、この狭い茶室の中で外を見ている。
楽しそうに遊ぶ妹たち。たまに目が合うと、遠くに行ってしまう。声をかけようにも、私は二人の名前を知らない。
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