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今日の母君はいつになく上機嫌だった。死ぬまでこんな母君に会えるとは思いもしなかった。
「母君、なぜそんなに嬉しそうなのですか?」
「お前の嫁ぎ先が決まったよ。今日、嫁入りするんだよ」
冷たい笑顔で言われた。誰に?など聞けない笑顔。昨日の雪椰の話はこういうことだったのか。しかし、
それが運命なら、私はそれに従うだけ
そう。今までそうしてきたように。これからもそうする。それで母君が喜んでくれるのなら…。
初めて母君が私の髪を結い上げる。そして白無垢に包まれる。母君は綺麗だ、とも体に気をつけて、とも言ってくれなかった。ただひたすら、人形の着せ替えをするように、私の身仕度をしてくれた。
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