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自分が不満をたれると、道化師はなぜか嬉しそうに答えた。
「え、いつもの夢物語なんか聞きたくないって?そんなこと言わずにさぁ。あ、そこの椅子に座って」
道化師はくるくると回りながら部屋の至る所へ移動した。
暖炉に火を焼べ、
窓にカーテンをひき、
蝋燭の火を吹き消す。
最後に、数ある本棚の中から一冊の本を手に取ると、こちらを振り向いた。
道化師は未だに立ったままの自分を見ると、困ったように微笑んでやって来る。
「だって君に聞いてほしいんだ」
道化師は自分を無理矢理座らせると、テーブルに煎れたての紅茶を置いた。
暗くなった部屋の中、古時計の機械音と、暖炉で木の爆ぜる音だけが響く。
道化師はゆっくりと椅子の周りを歩きながら、ぽつりぽつりと語り始めた。
「とある森の中、迷子になっている女の子がいました……」
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