19人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんで泣いとるんか」
きょとんとした顔で聞いてくる。
なんだこのひと、意外とストレートだな…
「あ、えと」
とりあえず涙をパジャマの裾でふく。
でもそれは止まるどころか溢れるばかり。
どうしようかと困っていると、ふと頬に少し冷たい指先が触れた。
「っ、!」
「腫れるじゃろ。だめ」
そういって少しヒリヒリする私の瞼にそっと触れた。
間近で見ても、綺麗なひと…
「…うん」
「ちゅーか熱うない?…熱あるん?」
「……うん」
「じゃぁ布団に入って、寝てる方が良いじゃろ。
一応寝付くまで側にいちゃるよ」
「………う、んっ」
久しぶりにひとの優しさに触れた気がする。
あったかくて、うれしくて。
また、涙がでた
「また泣く」
彼は困ったように笑って、涙を優しくぬぐい取った。
そして布団に入れ、と促してきたので、大人しく入る。
最初のコメントを投稿しよう!