G-GANG

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白血病、それは一種の癌と言っても 過言ではない。 白血病は完治できる場合もあるが、 治っても再発する可能性がある 質の悪い病気だ。 真太の口から白血病と聞いた俺は 完治する可能性を信じたかった。 「…治る見込みはあるとですか?」 信じたかった為か 俺は真太に問いかけていた。 「いや、はっきり言って無い。 自分の体やけん分かるっちゃん。 この体も、もう永くないって事ぐらい。」 真太は悟った表情をしながら言う。 それを見ると自分の目頭が 熱くなるのが分かった。 「光成、泣くな。」 真太に言われて 自分が涙を流しているのに気づく。 だが、涙を流す事が情けないと 考える事も出来ないほど胸が痛かった。 「光成、よく聞いとけ。 これが現実ってもんばい。 命に保険や保障は無いけん 人間いつ死ぬか分からん。 もしかしたら明日、死ぬかもしれん。 もしかしたら明後日、死ぬかもしれん。 本当に呆気なさ過ぎる。 正直、言って俺も死ぬのは怖い。」 真太は、けどな、と話を続ける。 「一緒に笑い合えた人達がおる。 一緒に泣いた人達がおる。 一緒に人生ば歩んだ人達がおる。 俺は散々、人に支えられて生きてきた。 こげん体が弱いとに夢ば追う事も、 大好きなラップばする事も出来た。 この短い命で一生分の幸せばもらった。 だけん思い残す事はない。」 そう言った後に真太が笑った顔は 今まで見てきた笑顔の中で 一番、輝いていた。
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