自信

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翌日、俺は昨日あった MCバトルの大会に負けてから 苛立ちを感じていた。 ‐ピンポーン そんな時、インターホンが鳴った。 俺は椅子から立ち、玄関を開ける。 開けて立っていたのは Jocoseだった。 「おーす! 寿司持って来たばい。 一緒に食べようや。」 Jocoseは元気な声を出しながら 寿司が入っていると思われるビニール袋を 目の前で見せた。 昨日、俺が負けた事を 気にしてくれたのだろう。 「まあ、入れよ。」 俺はそう言ってJocoseを家に上げた。 「昨日、残念やったな。」 Jocoseがビニール袋の中から 寿司が入った容器を 出しながら言う。 「ああ…残念やったな…。」 俺は元気無さそうに返した。 「まぁ、あんま気にすんな。 運が悪かったとよ。」 Jocoseがそう言った瞬間、 頭の中が真っ白になり、 俺はJocoseの胸ぐらを掴んで叫んだ。 「ふざくんな! こっちは負けて頭きとったい!」 そう言うとJocoseが 睨みながら言い返してきた。 「何や、きさん? 何ばグジグジしとうとや? お前も立派なラッパーやろうが! ディスられて負けたんなら またディスり合いして 勝てばよかろうが! 今のお前がしよう事は 負け犬がする事ばい! いつまんでんガキみたいにすんな!」 俺はJocoseに言われると 言い返せなくなった。 事実を言われたのだから。 俺はゆっくりと掴んでいる手を離し、 Jocoseに謝罪した。 「ごめん…。」 Jocoseは椅子に座りながら言う。 「イライラする気持ちも分かる。 けど、お前もスキルが低いと思うなら もうちょい自信ば取り戻すように 頑張ればいいっちゃないとや?」 Jocoseが言っている事はもっともだった。 確かに俺は昨日のMCバトルで負けて 自信を無くして、 上には上がいる事を味わった。 だが、それを知って 挫折したからといって いつまでも地団駄を踏んでいては 現状は変わらない。 Jocoseから言われて 我に戻る事が出来た。 ‐もっとスキルを磨いて あの流派というラッパーに勝ってやる、 俺がスキルが高い ラッパーという事を 証明してやる。 自分だけの小さな誓いをした。 「てかG-GANG、はよ寿司食おうや。」
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