先輩。

2/9
前へ
/29ページ
次へ
高校に入って、凄く仲良くなった先輩がいた。 橘 吉良。 サラサラで艶やかな黒髪、切れ長で凛々しくワイルドな眼、スラッとした長身で、モデルも顔負けするほど文句無しの美形だった。 そんな先輩が話しかけてくれるのが嬉しかった。 笑いかけてくれるのが嬉しかった。 当たり前のように、いつも傍に居てくれた。 それが凄く、嬉しかった。 気付いたら、先輩を好きになってた。 男同士なのに、とか思ったりもしたけど、好きなのは仕方ないと諦めた。 別に想いを伝えるつもりもなかったし、そんな勇気もなかったし。 先輩は来る者拒まず、去る者追わずの無類の女好き。 男の俺が相手にしてもらえるはずがない。 だから、ずっとこの想いを胸に秘めて墓まで持っていこうと決めた。 そうして日々を過ごしていた、そんなある日。 先輩にレイプされた。 夏休みに入る、一週間前の出来事だった───……。 先輩にレイプされてから、学校を休んだ。 会いたくなかった。 もしバッタリ先輩に会ってしまったらと思うと、怖くて行けなかった。  
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加