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「……せ…ん、ぱい…」
現れたのは、先輩だった。
手摺りに跨っている俺を見て、先輩の表情が強張る。
「な…にやってんだテメェ!危ねぇだろ!!」
「来んなっ!!」
「っ…」
大声で叫んで手摺りを乗り越え、真夏の太陽で温められたコンクリートに足をつける。
あと一歩、後ろに下がったら確実に落ちんだろーな…。
俺の叫び声に走ってこっちに来ようとした先輩の足が止まる。
「…何しに来たんだよ。俺の死に様でも笑いに来た?」
「んなわけねぇだろ」
不機嫌そうに先輩の眉が寄る。
「なぁ、危ねぇからこっち来いよ」
「……やだ」
静かに諭す先輩に、小さく首を横に振る。
もうこれ以上、辛い思いなんかしたくない。
「……俺が、原因か?」
「…………」
先輩の声に悲痛な色が混ざっていて、少しだけ頷くのを躊躇った。
「あの時の事が原因なんだろ?もしそうなら謝る。もう二度としねぇ、あの時の事は忘れてくれ。だから、また前みたいに…」
「っ、俺は!」
先輩の言葉を強い口調で遮る。
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