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謝る?
忘れてくれ?
また前みたいに?
先輩は、何もわかってない…。
「俺はっ、謝ってほしいわけじゃない…っ」
「え…」
先輩の目に戸惑いの色が浮かぶ。
「……ずっと…ずっと、好きだったのに…。先輩の事、ずっと好きだったのに!それなのに忘れる事なんて出来ない、前みたいに戻る事だって出来ねぇよ…!」
お願いだから。
お願いだから、もうこれ以上…
俺を苦しめないで。
「…ホントか?」
「え…」
「俺が好きって、ホントなのか?」
「………」
コクン、と小さく頷く。
「は…バカだな…」
ボソリと先輩が小さく呟いた。
そして少し慌てたように俺を見て、「お前に言ったわけじゃねーから」と否定した。
「こんな事ならちゃんと言っときゃ良かったな。ホント、俺ってバカ」
「…?」
意味がわからなくて先輩を見ると、前と変わらない優しい笑みを向けられた。
「入学式が終わってすぐに知り合って、すげー仲良くなった。ちょこまかと俺の周りにひっついて、子犬みたいで。無邪気に笑う顔が可愛くて、すぐ好きになった」
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