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暖かな日差しが辺りを包み込む、そんなある日。
烝と鉄之助は屯所を抜け出し、街へと繰り出していた。
「ススムー!」
烝よりも何メートルか先を歩いていた鉄之助が振り返り、満面の笑みを浮かべて烝を呼ぶ。
「ちゃんと前見いひんと転ぶで」
少し呆れたような笑みを浮かべながら返事を返す。
そんな烝の言葉に、子供扱いされたと思ったのか鉄之助が頬を膨らませながら烝の元へと走ってきた。
「ガキ扱いすんなよ!俺もう十六なんだからな!!」
子犬のようにキャンキャン吠える鉄之助を見下ろして、烝は口を開く。
「阿呆、ガキやと思っとったら情なんぞ交わさへんわ」
「っ…////」
街の中で堂々とそんな事を言われるとは思って無かったらしく、鉄之助は一気に顔を赤く染めた。
「ひ、人前で堂々とそんな事言うなよ!ったく、恥ずかしいヤツ…////」
口ではそう言いながらも、いつの間にか鉄之助の手はしっかりと烝の手を握っていた。
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