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「いきなり走り出すんだから、驚いたよ」
…驚いたのは、こっちの方です。
声が上手く出せないので心の中で返事を返す。
「何で、いきなり走り出したりしたの」
「……」
「…ねぇ、何で喋らないの」
「……」
「何で、そんなに泣きそうなの」
俯いたまま黙っていたら、不意に視界が暗くなった。
「ねぇ、綱吉」
「……」
返事の代わりに、ギュッとヒバリさんの制服の袖を掴んだ。
フッとヒバリさんの笑う気配がして、頭を優しく撫でられた。
「言わないとわからないよ」
「……オレ、」
小さく、絞り出すような声が出た。
「…オレ、知らない」
「?」
「ヒバリさんの、あんな笑顔…オレ、知らない…」
ずっと優しく頭を撫でていたヒバリさんの手の動きが、ピタリと止まった。
「…それ、ヤキモチ?」
「なっ…!!////」
一気に顔が熱くなる。
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