スマイル0円。

8/13
前へ
/30ページ
次へ
「いきなり走り出すんだから、驚いたよ」 …驚いたのは、こっちの方です。 声が上手く出せないので心の中で返事を返す。 「何で、いきなり走り出したりしたの」 「……」 「…ねぇ、何で喋らないの」 「……」 「何で、そんなに泣きそうなの」 俯いたまま黙っていたら、不意に視界が暗くなった。 「ねぇ、綱吉」 「……」 返事の代わりに、ギュッとヒバリさんの制服の袖を掴んだ。 フッとヒバリさんの笑う気配がして、頭を優しく撫でられた。 「言わないとわからないよ」 「……オレ、」 小さく、絞り出すような声が出た。 「…オレ、知らない」 「?」 「ヒバリさんの、あんな笑顔…オレ、知らない…」 ずっと優しく頭を撫でていたヒバリさんの手の動きが、ピタリと止まった。 「…それ、ヤキモチ?」 「なっ…!!////」 一気に顔が熱くなる。  
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加