想い。

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そんな鉄之助を愛しそうに眺めて、耳元に唇を寄せる。 「鉄、好きや」 紡がれた言葉は優しく、じんわりと鉄之助の心を満たしていった。 「……ん、俺も…」 目を合わせたら顔が赤くなっているのがバレてしまいそうで、鉄之助は顔を俯かせて頷く。 鉄之助のそんな反応すら愛おしくて、烝は口元を緩めた。 「めっちゃ好きや、愛しとる」 「もっ…わかったから!恥ずかしいから止めろ!!////」 たまらず鉄之助は烝の口を手で塞ぐ。 「ほらっ、行くぞ!」 照れ隠しなのか、ぶっきらぼうにそう言うと鉄之助は走って行ってしまう。 そんな中、烝は鉄之助の後ろ姿を眺めながら心の中で呟いた。 (…ちゃうんや) こんな言葉じゃ、ありきたりすぎて俺の気持ちを正しく表現出来へん。 もっと、気の利いた言葉があったらええのに…。 そしたら、俺の気持ちがそこら辺のヤツらとは比べもんにならへんくらい大きいんやって、わかるやろ? 「悲しさも 哀れもたぐい 多かるを 人にふるさぬ 言の葉もがな、やな…」 ~END~  
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