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病院の個室で目を覚ました僕の視界には、眼に溢れんばかりの涙を溜めた綱吉が映っていて。
「ヒバリさん!っ…よかった…!も、目を開けてくれないんじゃないかと、思っ…」
我慢出来ずに流れる涙を拭おうともせずに、嗚咽のせいで言葉を上手く紡げない綱吉を見て。
何故か無性に抱きしめたくなったのを覚えてる。
「心配で仕方ないから」と、学校と病院を行き来する君も、
そんな君と過ごす時間も。
嫌じゃなかった。
心地良いとさえ思った。
わけのわからないこの感情が、不愉快で。
だけど、嫌ではなくて。
それでも、こんなものに振り回されるのは気にくわない。
だから君を突き放したのに。
何で、君は。
僕に近づくの
僕に笑いかけるの
僕と一緒に居るの
わからない。
君も、僕自身も。
…ああ、これが“切ない”という事か。
胸が苦しくなる。
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