ひとつだけの世界 R

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  朝6時になってバイトが終わる。朝からくるパートのおばちゃんに引継ぎをすませて帰宅する。 人通りも車もまだ少ない。 通勤は黒の原付だ。この前、転んだときに左サイドにできた白い傷が真新しい。 なんとなく今日は薄気味悪かったし早く帰って寝よっと。 なのに信号にひっかかる。 誰も渡らない無人の交差点で一人待つなんて馬鹿らしい。無視していこうかなって見渡すと左のミラーにバス停に座るコンビニでみた女性が見える。 ・・・さっき通るときはいなかったはずなのに。 いや、きっと朝帰りかなんかでコンビニで時間つぶして今、バスを待ってるだけだよ。 こっちの視線に気付いたのか向こうも、こっちのミラーを見つめてる。 ミラー越しで、はっきり見えないけど顔は小顔の色白、普通っぽい。 当たり前か。ただの人間なんだから。 青になったのでバス停を振り返らずに交差点を右折して帰宅した。
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