災難

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「だからさ、きいっちゃんも考えてくんねーかな」 「…何、…を?」 「テニス。やっぱ相方はきいっちゃんがいいからさ」 何を、言っているのか。最初輝一は理解できなかった。しかし頭がだんだんと状況を把握していく。 「え…って、俺もテニスをやるってこと?」 「そ。」 ───俺が…灰とテニス……? 「嫌ならいいんだけどさ。考えるだけ考えてみてくれよ、な」 そう言った灰は、輝一を残して部活見学へと行ってしまった。   ───灰、変わったな… 中学の頃はいつも一緒にいたけど、高校に入ってから違うクラスになって距離をおいたからか、離れている時間が随分と長くなった。所詮友達なんてその程度のものなのかもしれないけど。 「見学か…」 本当は灰と一緒に卓球部の見学に行くつもりだったのに予定が変わってしまった。 「テニスかぁ…」 おいていかれたような寂しい気持ちをまぎらわすために輝一は溜め息をつく。 もしかしたら灰が戻ってくるんじゃないかなんて思ったけど、そんなもしもはおこるはずもなかった。 「あーあ…」 ───テニスねえ…テニス…… 輝一はもう一度溜め息をついて肩をおとした。
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