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「じゃあ頼んだぞ」
「……はい」
───何をしているんだ。俺は。
重いダンボール箱を抱えた輝一は、よたよたと危ない足取りで階段をのぼっていた。箱の中にはぎっしりと本が詰まっていてそれを図書室に届けなければいけないのだ。
───真っ直ぐ体育館に行ってればよかったな。そしたらこんなこと頼まれずにすんだのに…
「図書室はたしか…4階だったな」
図書室には図書委員がいるから、持っていくだけでいいからと言った担任を恨む。その"持っていくだけ"が一番大変だというのに。
「あー、くそっ」
3階の踊り場で箱を持ち直す。目的の場所まであと少し。
「体力ないっつうのに…」
悪態をつきながらも、輝一はその階段を一歩一歩、のぼりすすめた。
「なんなんだよあの先公!!」
ガッタンと棚の倒れる音が聞こえてきて、輝一は顔を青くした。音源は図書室。今まさに扉を開けようとしていたところだった。
───な…何?!!
バサバサバサッと床に物が落ちる音。図書室からして本なのだろうけど、その量は半端じゃない。
───いったい何が…
窓からこっそり中をのぞいて、輝一は息をのんだ。中にいたのは自分と同じクラスの双子だった。
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