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秀二(しゅうじ)と祥二(しょうじ)はいつも二人でいる。そのせいで二人はクラス内で孤立していた。
───あいつら図書委員だったのか…
よりによって、である。近付きにくい雰囲気が輝一はどこか苦手だった。
───なんか機嫌悪そうだし…
怒鳴りながら本を投げているのは秀二の方だ。顔も性格も正反対と言っていいほど似ていないのですぐにわかる。
祥二はその様子を黙って見ていた。
───とめないのか?
図書委員になるくらいだから本を好きなのかと思うが、投げているところを見てしまってはむしろ嫌いなのではと思う。
床は散乱した本でほとんど見えていなかった。よく見ると本棚も二つ小さいのがひっくりかえされていた。
───怖えぇ…
関わりたくないと思った。誰だってこの状態を見たらそう思うだろう。
けどこのまま先生に渡されたダンボール箱を放置するわけにもいかない。
どうしたものかと輝一が悩んでいると、うるさかった物音がぴたりとやんだ。
───?
不思議に思って顔をあげると、ガラス越しに秀二とはっきり目があう。
…そりゃそうだ。
こっちから見えているのだから向こうからも見えるに決まっている。
扉に背を向けていた祥二はゆっくりと振り向いた。
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