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「高校でも卓球続けるのか?」
秀二にそう問われて、輝一は言葉に詰まった。あのことを話した後に部活の話は辛い。
「…一応」
曖昧な輝一の言葉に、秀二は羨ましそうに「ふうん」と言った。その姿を見る祥二の目が細められる。
「俺も好きな部活に入れたらなー」
伸びをしながら秀二はそんなことを呟いた。
「…?」
輝一は意味がわからずに首を傾げる。部活は好きなところに入るのが普通ではないのか?
「俺中学のときサッカー部だったんだよ。大会で結構いい成績残しちゃってさ、だから…」
推薦でこの高校に入れたんだと、秀二は言った。それが何を意味しているかは輝一もなんとなくわかる。
「でも…大丈夫なんじゃないかな」
輝一は思ったことがそのまま口にでてしまったことに気付いて慌てた。真剣に悩んでいる人に大丈夫なんて気軽に言っていい言葉ではない。
「あ、いや、その…」
二人の視線を感じて、輝一は灰の顔を思いうかべた。
「俺が卓球やってたときのパートナーは灰っていうんだけどさ、灰も推薦で入ったけど卓球はやらないって言ってたし…だから大丈夫…かと……」
しどろもどろ言う輝一は、やっぱり言うんじゃなかったと、後悔した。
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