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よけいな事は言うものではない。これは秀二の問題だ。
「そう…だよな……」
秀二は考えるように顎に添えていた右手を外し、輝一を見た。
「やりたいことやるのが普通だよな」
顔を緩ませる。自分の言葉が、何かを変えることができたのだろうか。
「お前やっぱ凄ぇよ」
バシッと背中をおもいきり叩かれる。
「秀二、ふっきれたのはいいんだけど…」
祥二はゆっくりと図書室を見回した。
「片付けはちゃんとしないと駄目だよ」
「…なんで俺まで」
秀二と協力して本棚を起こしながら輝一は愚痴をこぼした。床の本を拾い集めて順番通りに並べていく。
「いーだろ手伝いくらい、文句言うなよ」
秀二は悪びれもせずに早く並べろと言う。祥二はカウンターで新しく入った本にラベルを貼ってカバーをかけていた。
「やーっと終わった!!」
綺麗さっぱり片付いた頃には、外は真っ赤な夕焼けに染まっていた。そろそろ部活も終わる時間だ。もしかしたら今日は入部届を出しに行けないかもしれない。
「そんじゃ行くか」
「え?何処に…」
鞄を持って帰るつもりだった輝一を、秀二は引き留めた。そして体育館の方へと歩いていく。
「そんなの、卓球部のとこに決まってんだろ」
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