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「祥二遅えよ」
体育館に入るなり聞こえてきた声。それは3人のうち一番後ろにいた祥二へとかけられた言葉だった。
「委員会でちょっとね」
どうやら祥二はすでに入部しているらしい。しかもクラスとは違って友達も多いみたいだ。
───秀二がいないから?
「何、祥二知り合い?」
「うん」
ジロジロと相手を見る秀二が、少し不機嫌に見えた。
「あんまり睨むなよ」
ぺちりと秀二の頭を祥二が叩く。秀二はむうっと頬を膨らませているが、くるっと振り返ると輝一の方に歩み寄ってきた。
「さっさと届出そうぜ」
腕を引っ張られて、輝一は祥二を見る。あきれたように見ていた祥二と目があったが、輝一は苦笑するだけだった。
「あっれ~?鳥羽君に秀二君?どしたの?」
部長を探していると背の低い一年生が声をかけてきた。今度は輝一と秀二に。
「膳場(ぜんば)君…だっけ?」
「うん。下の名前は寛之(ひろゆき)だよ」
ひとなつっこく見える彼もまた同じクラスだ。話したことはないけどクラスの中心にいつもいるので覚えている。まさか向こうも名前を知っていたとは思わなかったけど。
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