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つい最近まで小学校に通っていたようなひよっこにスポーツで負かされて、嫌な思いをしない人の方が珍しいだろう。輝一だってそれは承知の上だった。けれど輝一は、彼等が卓球を遊びでやっていることがどうしても許せなかったのだ。だからこそ勝負を申し込んだ。まだ入部届すらもだしていなかったけど。
「おいおい大丈夫かよ~?」
「先輩なめてると痛いめ見るぜ」
笑われたってかまわない。その緩みきった顔を屈辱に歪ませてやる。
輝一はべつに、卓球が上手いということはなかった。小学校でも普通レベルだったし、スポーツジムに通っているなんてこともない。
けど彼等は、真面目に部活をやってこなかった彼等は、輝一に勝つことができなかった。
「…なんでこんな奴に!!」
最初にラケットを投げつけたのは輝一と試合をした相手だった。最初は余裕だと思って気を抜いていたのだろう。輝一の連続ポイントが決まり出すと、焦りが生じてミスが目立ち始めた。結局、自滅。
「こんな部活やってられるかよ!!」
連鎖のように先輩たちがラケットを捨てていく。それは予想外のことで輝一は内心焦りを感じた。そしてその焦りは現実となり、体育館には誰一人残らなかった。
───これで……良かったのか?
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