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「はぁ…」
これからどうしたものか。とりあえず入部届?と思い輝一は先輩たちが捨てたラケットを片付けた。このまま放置するわけにはいかない。しかしケースの片付け場所がわからない輝一は、箱を床に置いてその上に座り込んでしまった。
───何してんだ、俺は…
こんなことがしたくて来たわけではない。ただ卓球がしたかっただけだ。
しかし試合を見ていた輝一と同じ新入学生もいなくなってしまった今、そのちっぽけな望みも打ち砕かれてしまった。
卓球は、一人ではできない。
「はぁ…」
二度目の溜め息を輝一がついた時、不意に体育館に人影が現れた。
先生かと思って立ち上がるが、背格好から生徒だとわかった。遅刻してきた先輩か、それとも新入部員か。
「……卓球部ってここでいいんだよね?」
「う、うん…」
どうやら新入部員みたいだ。違う部活を見ていて見学に遅れてきたのだろう。
「練習やってないの?もしかしてもう終っちゃった?」
彼は何も知らないのだろう。輝一はさっきまでここでやっていた試合のこと、先輩は怒って出ていってしまったのだということ、全て話した。
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