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部屋を仕切るぶ厚いカーテンにそっと手をかけ、音を立てないようにすり抜ける。
寝台で眠る母の様子を窺いながらそっと元通りにカーテンを閉め、チハヤは一人で車内の探険に出かけた。
もちろん、こんな事は絶対に許されない。母が目覚めてチハヤがいないのに気付いたら、さっきの倍以上怒るだろう。
だが、あんな暴言を吐いて自分を傷付けた上に、背を向けて眠りこけた母に大人しく従っているのも子供心に悔しかった。
私だって怒るんだ。
ただじっと耐えているだけの子供じゃない。
態度で示してやろうと思った。
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