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窓に映る自分の顔を見つめながらチハヤは色々と考える。
チハヤの顔は父さん似だ。
祖父と祖母はよくそう言って大いに喜んでいた。
本人たちにそのつもりはないだろうが、チハヤにはそれが「母親に似なくて良かった」と言っているようにしか聞こえず、
その様子を黙って見ている母が可哀想で仕方がなかった。
先程チハヤの心をひどく傷付け一人ふてぶてしく寝入った母だが、可哀想だと思ったのだ。
……。
そういえば、昔からそうだ。
どうしてだろう。
なぜいつも父が悪者なんだ?
真向かいのソファに誰かが勢い良く身を沈めたのはその時だった。
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