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「よっこらせっと!」
間の抜けた掛け声に驚き、思考を中断して顔を上げると、ハーフパンツを履いた利発そうな少年が深々と腰を降ろしていた。
チハヤよりいくつか年上らしい少年は、遠慮のない目線をこちらに向けて
「ここ、座っていいかな?」
既に座っているにも関わらずそんなことをチハヤに聞いた。
チハヤはこっくりと頷く。
なんだか怖くて駄目とは言えなかった。
少年は嬉しそうに頷くと、身を乗り出し、高い声で喋り始めた。
「ごめんな急に。さっきまで他のソファに…あそこの席に座ってたんだけどさ。
近くにいるオッサンが煙草吸い始めたから逃げてきたんだ。
俺ケムリ駄目なんだよね…」
そうなのか。
少年の座高が低くて背もたれに隠れていたのか、全く見えてなかった。
チハヤが少年の指す方を見るとその男性はまだその席で煙草をふかしていて、少年の話が聞こえてしまったのか不機嫌そうにこちらを睨んでいる。
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