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悲しい気持ちで喉が詰まり、下を向いて黙っていると、
それを肯定と見なした少年は得意気に話し出した。
「やっぱそうか。うん、最初お前見たときからそうなんだろうなと思ってた!
だってなんかお前暗いし。いかにも訳ありって感じで…」
今まで懸命に紛らわしていた不安や絶望を再び思い出してしまい、チハヤの両目にみるみる涙が溜る。
調子に乗って喋りまくっていた少年はチハヤの涙に気付いた途端、冷水を浴びたように硬直した。
「ああー…すまん…何も泣かなくても。どうしよう、おい」
少年が立ち上がって顔を覗き込もうとするのが嫌で、チハヤは顔を背ける。
「ごめん。ごめんな。俺よく無神経だって言われる。先生にも言われたし…通信簿にまで書かれたし…ごめんってば、泣くなよ!」
放っておいてくれればいいものを少年がしつこく構ってくるのが辛くて、泣いているのが恥ずかしくて、チハヤはとうとうテーブルに突っ伏してしまった。
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