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その間ユウキはメロンソーダを少しずつ口に含みながら彼女の話に耳を傾ける。
話しながらチハヤが泣きそうになると、慌ててソーダの缶を出したり引っ込めたりしていた。
どうやら言葉でなぐさめるのが苦手らしい。
一通り話終えると、ユウキはしばらくなにか考えた後、ようやく口を開いた。
「なるほどな。道理で暗い顔してると思ったよ。大変だったな」
「そんなことないよ」
チハヤはゆっくり首を降った。
「私はまだ何も大変な思いしてないよ。大変だったのはお母さんだもん」
「そんなことないだろ。こう言っちゃなんだけどさ、チハヤの父さん母さんが離婚したのってその二人の都合じゃん。
勝手に離婚しといて大変もクソもあるかよ。…大人の都合にホンロウされるお前が一番かわいそうだよ」
これでもユウキはチハヤを泣かさないよう慎重に言葉を選んでいる。
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