7/8
前へ
/68ページ
次へ
    今回の離婚について、原因はどちらにもあると言えるし無いとも言える。   恐らく結婚するまでお互いに解らなかった相性の問題だった。     「どっちが悪いって訳じゃないのは私も解ってたんだけど。 でも私、お父さんもお母さんも好きだったよ。なのに選べって言われたんだよ」     父か、母。   どちらについて行くか。     母がかわいそうだった。だから一人ぼっちの母の唯一の味方になることを自然に選んだ。   だが、そんなチハヤを母は歓迎してはくれなかった。     「私、それが正しいって思ってたの。でもお母さんは、お金に困ったり、転校しないで済むようにお父さんを選べば良かったんだって。 そういう選び方をすれば良かったんだって」     大切な二つの中からどうしても一つを選ばなければならないとき、何を基準に置くかは人それぞれで。     チハヤは拙い正義を基準に置いて母を選んだ。だが、それを母から否定されてしまった。  
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加