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ロビー車内の乗客はいつの間にか離れた席に座る二、三人ほどしかいなくなり、後は皆個室に引き上げたようだった。
窓の外は完全な闇で、もう街の明かりも星も見えないため、個室のよりも大きな車窓を楽しめなくなったせいだろう。
食堂車から寝台車へ向かうのにチハヤ達の側を通過する人達は
目を腫らして泣いている子供二人に気付くと、一瞬動きを止めて視線を送ったが、あの若い車掌さんのように事情を聞いてくるようなことはなかった。
ユウキとどのくらいの時間話していたのだろう。
母はまだ寝ているだろうか。
車掌さんが巡回に戻って来ないだろうか。
色々と気にかかったが、チハヤは時間の許す限りぎりぎりまでユウキと話していたいと思った。
今まで自分でもわからなかった本当の気持ちを、もっとたくさん引き出したかった。
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