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「あーあ…俺まで泣いちゃったし」
目をぐしぐしと擦りながら、
ユウキは照れるように笑った。
「ごめんね、私の」
「だからお前のせいじゃないってば。止めろよな、すぐ自分のせいにして謝るの。
お前の話聞きたいって言ったの俺なんだからさ」
「そうだよね、ごめ……」
ユウキが眉を潜めたのでチハヤは慌てて口を噤んだ。
「まぁいいや。それにしても…お前が何で母さんに付いてったのかはハッキリしたけどさ、これからどうするんだよ」
どうすると言われてもどうしようもない。
九歳のチハヤは母から離反して一人で生活する事はできないし今更父の方へ行くこともできない。
どんなに嫌いになっても子供は親の元で生きて行くしかない。
「まぁ大丈夫だよ。だって親子なんだから。ケンカしてもすぐに元に戻る。ウチもそうだもん」
「ユウキのとこは…?」
今まで自分の事ばかり話していてユウキの事は何も知らなかった。
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