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「本当、ごめんな」
ユウキは何度も謝った。
「そんな、ユウキだって私の話聞いてくれたじゃない。私もユウキの事聞きたかったんだよ。
それにさっきから謝ってばっかりだけど、私に『すぐ謝るな』って言ったのユウキでしょ」
珍しく早口でまくし立てるチハヤを呆然と見つめ、
「そういやそうだよな」
ユウキは歯を見せて笑った。
「結局同じことしてるのな」
「あはは」
チハヤも一緒に笑う。
こうしていつまでも笑っていられたら、どんなに良いだろう。
「そういえばさ、さっきお前にあげた恐竜」
「恐竜?」
泣いているチハヤをあやすためにくれた、緑色の小さな人形。
「あぁ、トカゲ」
「トカゲじゃないっつーに。
…あーあ、そんな事言う奴には教えてやんねぇー」
「え、なにそれ」
チハヤが身を乗り出すと、ユウキは得意気に胸を反らした。
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