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「土方さ‥ン、なん‥で…ッ。俺のこと嫌いなんだろィ」
総悟は声を振り絞り、肩を震わせながら相手に問い掛ける。
「あぁ、嫌いだよ。嫌いだと思ってねぇと、この気持ち押さえられなくなるんだよ」
総悟は相手の言葉の意味が分からず首をかしげ土方を見つめるだけ。
「好きだ総悟…」
「一一ッ」
突然の土方の告白に嬉しさのあまり体を硬直させ、目をパチクリさせた。
しかし、そうとは知らない土方は拒絶されたと思い、抱き締めていた総悟の体を離し部屋を立ち去ろうと背を向ける。
そんな土方の行動に焦った総悟は慌てて近づいた為、背中にぶつかる形で相手に抱きついたのだ。
「行か‥ない…でッ」
俺は最初から知っていた。素直になれないのは己の心が弱いから。どうして気付かなかったのだろう。素直になれる魔法とは…心の中にある勇気だということを。
だから俺は魔法を掛ける勇気という名の魔法を…
「土方さんッ。…‥俺も、アンタが好きでさァ。大好きなんでィ…」
「知ってた」
土方の言葉に総悟は目を点にする。
そんな総悟を見てクスクス笑いながら土方は口を開いた。
「お前、昔っから素直じゃなかったしな」
「煩いッ…」
土方の話に顔を赤らめ俯かせながら足を蹴ろうと足を振りかざす。しかし、土方はそれを簡単に避けていく。そしてニヤッと笑いこう言った。
「これも、いつもみたく愛情の裏返しだろ?そう思うと、すっげぇ可愛かった」
「黙れアホ方ッ」
言葉ではそういうものも、相手に気持ちが伝わっていたということが嬉しく土方に抱きつき頬を緩めた。
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