3/3
前へ
/16ページ
次へ
冬の桜に涙した。 春に散り涙した。 「大丈夫…俺も共に逝くから」 少し遅くなってしまったけどと、続けて。 はらり。はらはら。 桜が散って、嗚呼もうすぐ俺も死ぬんだなと、何故か穏やかな気分になった。 今でも鮮明に思い出せる、蒼い瞳。 いつも無表情だったけど、優しかった。 優しい笑顔に涙した。 寂しい言葉に涙した。 「待っててくれるかい───青龍」 そして男は、ゆっくりとその生涯を閉じた。  
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加