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冬の桜に涙した。
春に散り涙した。
「大丈夫…俺も共に逝くから」
少し遅くなってしまったけどと、続けて。
はらり。はらはら。
桜が散って、嗚呼もうすぐ俺も死ぬんだなと、何故か穏やかな気分になった。
今でも鮮明に思い出せる、蒼い瞳。
いつも無表情だったけど、優しかった。
優しい笑顔に涙した。
寂しい言葉に涙した。
「待っててくれるかい───青龍」
そして男は、ゆっくりとその生涯を閉じた。
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