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すると晴明ははたと気付いたかのように歩を止め、ジロリと玄武を睨み付けた。玄武は相も変わらず不敵な笑みを浮かべ、そんな晴明を見据えているではないか。
自分から離れた玄武に今度は近付き、徐に懐から一枚の札を取り出した。
「おいコラ玄武…用がない限り近付くなって何度も言ったよな?」
『近付いたら封印するとも言われたなぁ』
「そこで問い掛けだこの札一体なーんだ」
『主の話を真に受けるならば封印の札だな』
そのあっけらかんとした態度に青筋を浮かべ、晴明は札を玄武の眼前に突き出した。
「今すぐ天界に戻るか封印されるか二つに一つだ」
『残念。用事があるから来たんだがな』
悪びれもせず言い放った玄武に、晴明は眉を吊り上げた。札を仕舞い、少し悩むような素振りを見せると邸に戻るぞ、と呟いた。
達者な口を閉じ、今度こそ玄武は晴明にも見えぬように陰形した。
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