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「棗、連れてきたぞ」
呉羽はアタシの手を掴むと、その【棗】という人物の前に突き出した。
その者を目の前にして思った。
綺麗な人だなぁ‥と。
漆黒に紅色がやや混ざりあった髪色に、やんわり着崩した制服。
方耳だけピアスを一つ開けていて。
人を惹き付けるオーラを醸し出す。
「貴様が新たな姫か‥」
資料に通していた紫がかった瞳をアタシに向ける。
「‥らしいな。
まぁ一応姫に就任する事になった、如月 響古だ」
「‥俺は、此処の責任者の鹿鳴館 棗(ロクメイカン ナツメ)だ。」
棗はそれだけ言うと、アタシに向けていた視線をまた資料へと戻す。
‥なんだコイツの態度は‥。
「そういやァ‥
姫さんよ、《姫》になるってのは俺等の仕付け役っつー意味だよなァ‥?姫さんに出来んのか?」
「姫君には悪いけど、それは無理だと思うぜ?俺等の間じゃ、姫=暇潰し程度でしか考えてないからさ」
「前の姫様には随分と飽き飽きしたよ。すぐ泣くし、ずば抜けた才能が何一つ無い、低脳だったからな‥。その点、君には期待しているよ」
‥‥はぁ?
なんだこの言い様は‥。
歴代の姫を馬鹿にしたような言い方‥。
胸クソ悪いっ!!!!!!!
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