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「皆さん、大丈夫ですか?」
「おぉ、華恵さん。助かります。」
「雷が落ちたみたいですなぁ。」
「そろそろ倅に迎えに来てもらおう思っとったんじゃが……。これではのぅ。」
あちらこちらで光に安心した口が思い思いの言葉を洩らし始める。
「お床の準備をしますから、皆さんどうぞ泊まっていって下さい。夜中にこの大雨じゃ危ないですし。」
暗がりから喪主が誰へともなしに声をかける。
「清三さん、じゃあウチはお言葉に甘えさせてもらいますわ。年寄りの一人住まいじゃ、迎えも呼べんからの。一晩お世話になります。」
ぼんやりと頭を下げながら言う老女の言葉を皮切りに、ぽつぽつとその夜をどうするかが薄明かりを頼る部屋の方々から聞こえてくる。
「義姉さんはどうしてるのかしら。納棺から帰って……それから見てないんですけど。清三さん、知ってる?」
華恵が頭の中で布団の用意を考えながら、ふと思い出したように声を掛けた。
「いや……
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