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「だってさ、家に居ても退屈だったし、暇だったし、暇だったし、暇だったし……」
「結局暇だったんでしょ?」
わたしの話に、幸ちゃんが軽くツッコミをいれると、三人一緒になって、けたけたと笑った。
わたし達三人は、去年――中学一年生の時――クラスが一緒だった。
さらに、部活も同じテニス部だった。
そんな接点の多かったわたし達は、すぐに仲良くなった。
今思うと、それってすごいことだよね……。
「明、向こう行ってきなよ」
急に香奈がある方向を指で差しながら、騒ぎ出した。
何事かと思い、わたしも幸ちゃんも香奈の指差す方を見てみる。
その指の先には――。
「あ……まさ、だ」
斉藤 雅仁(サイトウ マサヒト)がいた。
長身で、テニスで鍛えられそれなりに筋肉のついた体。
日に焼けた肌は、かなり健康的に見える。
わたしだけ、まさという特別な呼び方をしている。
自然と目で追ってしまう人。
見てるだけで、胸がどきどきしてしまう人。
わたしの、好きな人。
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