真夜中の一本目

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「まぁ、冗談はさておき…」 「………間違えただけでしょ…」 「何か言ったかの?」 「いぇ、別に。」 この微妙な空気を耐えかねたか、誤魔化すように彼は聞いてきた。 「ワシを何故喚んだのじゃ?」 「え?喚んでないよ?用もないよ?」 「なんかトゲがあるのぅ…。ワシが今ここにいて、お主に見えるということは、何かお主に願望があるということなんじゃが…心当たりはないのか?」 「いきなりそんなこと言われても…ってか、何か願い叶えてくれるの!?」 私は目を輝かせて食いついた。 「ワシは叶えはせんよ。叶えるのはあくまでお主、ワシはお手伝いをするだけじゃ」 「チッ、使えないやつ…」 「なんじゃ?」 「いや……」 そこで私は、少し真剣に目標、願いを考えてみた。 イジメの復讐?まぁたしかにムカつくやつらだけど…同じレベルには落ちたくない。 お金?欲しいけど、そこまで物欲ないし困ってもないしなぁ 今一番欲しいもの…… イジメにあって以来、私は少し変わってしまった。 以前は見過ごせなかったことも、今は… 恐怖感が先に出てきてしまう。 臆病になってしまった。 それはプライドの高い私にとって、すごく屈辱的なことだった。 正しいことを言えない、そんな自分が憎らしかった。 それに今は一人…… 「そ、それなら、しょうがないから願い事見つかるまで一緒にいてあげてもいいわよ?」 「どうしてそんなツンデレ風なんじゃ?」 「う、うるさいわね!決めたわよ!今日からあなたは私の下僕よ!」 「下僕かい…まぁ、どうせすぐには帰れないし、少しの間、やっかいになるかのぅ」 ………こうして奇妙な生活が始まっちゃったんです……… これでいいのか!?あたし!?
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