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何はともあれ、「彩那美月プロジェクト」は始まったのだ。
最初は有線から火が着いた。
そして音楽番組にて、世にも美しいディーバ、彩那美月は姿を見せ、一気にブレイクした。
ただ…
音楽番組に一切出ない、ライヴ活動も一切しないミステリアスなディーバに、世の中はざわめき始めていた。
†††
意外にも彩那は「彩那美月」とはバレなかった。
それ程に音に乗った彼女の姿は神秘的で美しかったのだ。
彩那は嬉しい反面、悔しくもいた。
アタシは音楽番組も出たい。
ライヴもしたい。
プロダクションの社長に直訴したら、
「美月次第だ。美月がOKを出したら、雑誌だろうと音楽番組だろうとライヴだろうと構わない。」
「何で美月、美月って…美月優先なの???」
「歌ってるのは美月だ。作詞作曲も。」
彩那は黙り込む。
1stから3rdまで…全く違う曲調の歌を歌いこなしていて、しかも作詞作曲まで???
天才とはこの事だろう。
「音楽番組とかライヴ用の音源を作ってからだと、美月は言ってくれてる。後、インタビューの回答も。」
「そっかぁ…」
完璧アタシの負けだわ。
何やってんだろ、彩那のアホタレ。
美月はなんだかんだ言ってもちゃんと用意始めてるのに…
「アタシ…2ndシングルの振り付け、練習します!!!」
「ああ、あれは間奏でダンスが激しいからな。振付師を呼ぶよ。」
やる気を見せた彩那に社長は笑顔を見せた。
彩那はシンガーとしての資質はないがパフォーマーとしての才能、それに周囲を和ますチャームの優れた持ち主だ。
「彩那、レッスンスタジオを空けるから着替えて。」
「はぁい♪」
ニッコリ笑った彩那はパーフェクトスマイルだった。
†††
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