†Prologue†

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CDショップに貼り付けられた、大きなポスター。 スラリとした、けれど出る所は出たグラマラスなボディに日本人離れした美貌の若く美しい少女の堂々たる姿。 目力の強い大きな瞳に濃く長い睫毛、スラリとした鼻筋にセクシィな唇。 彼女は「彩那美月」 デビューシングルは、有線からジワジワ人気を集め、テレビにてプロモーションビデオが流れた瞬間に一気にブレイクした。 彼女のCDはあっという間に売り切れ、再入荷にショップは慌てている。 ††† そうしてあっという間に…僅か一年の内に、日本におけるアーティストでもトップクラスに入った。 ポスターやシングルのカバーを飾る彼女の美しい姿は勿論だが、彼女の歌声はそれを上回るものだった。 低音、高音、幅広い声域を持ち、音楽業界からは「七オクターブはあるだろう」と称されるダイナミックかつ繊細な歌声の持ち主だからだ。 「今世紀嘱望されるアーティスト」と呼ばれる彼女。 だが彼女はとてもミステリアスだった。 音楽番組にも出ないし、ライヴもしない。 「日本一ミステリアスなディーバ」彩那美月。 人々は彼女を捜索したり、噂したりした。 ††† だが、彼女には重大な秘密があった。 彩那美月は「作られたディーバ」だったのだ。 †††
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